昔と今のWebサイトのカタチ

私がWebサイト制作を生業としていた頃まだまだインターネットの普及率は低く、大部分はISDN、企業などはかろうじてADSLを導入しているような時代でした。
そのような状況下でWebデザイナーは「如何にファイルサイズを軽くするか」を一番の大きな課題とし、アクセスしてから表示されるまでに○秒かかるWebサイトはダメ!jpegにはプログレッシブを、gifにはインターレースを!
と試行錯誤し、遅い回線でもきちんと読み込みことができ、それなりに見栄えのいいサイト作りに励んでいました。

私の勤めていた会社は元々紙媒体のデザインを主にしていたのですが、これからはWebもできるようにならないと!ということWeb部門が作られました。
そこへ私が入社したわけですが、Web部門はなんと私一人だけだったのです。
他の人が紙媒体を手がける中、一人で黙々とWebサイトを作るようになりました。
当然周りの人は上司を含めデザインのプロではあっても、Webに関しては全くの素人です。

「もっと写真大きく、きれいにして」→画面一面写真は無理です。そしてこれがキレイの限界です。

「ここの行間もうちょっとなんとかならない?」→Macのマイナーブラウザまで対応するのは厳しいです…。

紙なら人によって見え方が違うということはありません。
しかしWebの世界はインターネット環境にも左右され、パソコンのOSや使用しているブラウザにも左右され、ユーザーの設定にも左右されます。
当時はこのことをなかなか理解してもらえませんでした。

時が経ち、現在では上のような悩みを抱えることはありません。

インターネット環境が整備され、高速インターネットが当たり前の時代に。
昔は動画=重いということで避けられる要因でしたが、今ではYoutubeやUstreamなど動画は当たり前、画像だって画面いっぱいに表示させても一瞬で読み込みが完了します。
もう「この画像なんとか25kbに収まらないかな…」なんて悩まなくていいのです。
ブラウザも独自の規格や解釈をやめ、同じソースで同じものが表示されるようになりました。Macで見たらWinと表示結果がまったく違う!ということもなくなりました。

しかし、今のWebクリエイターが悩み、試行錯誤することがないのかというと、そういうわけではありません。

急激に普及するスマートフォンやタブレットへの対応は今やマストです。
また、SEOなど昔は見向きもされなかった部分が今もっとも重要視されるようになってきています。
動的コンテンツも増え、パーツにちょっとした動きをつける際にはどう動くか、その動きをどのようにプログラミングするか、と悩みは尽きません。

時代の移り変わりとともに、クリエイター達の悩みも移り変わっていくのです。